貯めたいのに使ってしまう。お金を使う「無意識の理由」を見つけるシンプル思考
なぜか貯まらないと感じていませんか?
お仕事を長く続けられ、収入も安定してきたと感じているにも関わらず、目標とする貯蓄額に届かない、あるいは収入が増えたはずなのに以前よりお金が残らない、といった感覚をお持ちかもしれません。将来のために備えたいという気持ちはあるのに、気づけばお金を使ってしまっている。こうした状況に、漠然とした不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。
この原因は、必ずしも「無駄遣いが多い」という単純な話だけではありません。私たちは日々の生活の中で、自分で意識している以上に、様々なお金の使い方をしています。そして、その中には、自分でも気づいていない「無意識の理由」に基づいた支出が多く含まれている可能性があります。
この無意識の支出に気づき、シンプルにお金との向き合い方を見直すことが、貯蓄体質への第一歩となります。
お金を使う「無意識の理由」とは何か?
なぜ私たちは、貯めたいと思っていてもお金を使ってしまうのでしょうか。その背景にある「無意識の理由」は多岐にわたります。いくつか例を挙げてみましょう。
- 感情による支出: ストレスを感じたときに衝動的に何かを買ってしまう、疲れているときにタクシーに乗ってしまう、といった感情的な要因による支出です。一時的な感情を満たすためにお金を使ってしまいます。
- 周りの目を気にする支出: 友人や同僚との付き合いで、本心では乗り気でない誘いや、必要ないと感じる買い物に合わせてしまうケースです。「ケチだと思われたくない」「皆が持っているから」といった心理が働くことがあります。
- 過去の習慣や固定観念: 「給料日には〇〇を買うものだ」「疲れたら外食するものだ」といった、これまでの習慣や自分で作ったルールに無意識に従っている場合があります。
- 情報に流される支出: 広告やSNSで見たものに影響され、「これは必要だ」と思い込んで買ってしまうケースです。本当に自分の価値観に基づいた選択ではない可能性があります。
- 思考停止による支出: 最も楽な方法、最も手軽な方法を選んだ結果、無意識にコストの高い方を選んでしまうことがあります。例えば、コンビニでの買い物が習慣化している、深く比較検討せずにおすすめされた商品を買う、などです。
これらの無意識の理由は、一つ一つは小さな支出に見えるかもしれませんが、積み重なることで、貯蓄目標から遠ざかる大きな要因となります。
シンプルに「無意識」に気づく方法
無意識の支出に気づくためには、複雑な家計簿をつける必要はありません。大切なのは、「お金を使う瞬間に少し意識を向ける」というシンプルな習慣です。
- 立ち止まって問いかける: 何かを購入したりサービスを利用したりする直前に、数秒で良いので立ち止まってください。「本当にこれは今の自分に必要だろうか?」「何のためにこれを買おうとしているのだろう?」と、自分自身に問いかけてみましょう。この一瞬の問いかけが、無意識の支出にブレーキをかけるきっかけになります。
- 簡単なメモを残す: 高額なものや、理由がよく分からない支出については、スマートフォンのメモ帳などに簡単にメモを残す習慣をつけてみましょう。「〇〇円、コンビニ(なんとなく)」「△△円、洋服(ストレスで)」のように、金額と簡単な内容、そして「なぜ買ったか」を素直に書き出すだけです。後で見返したときに、自分の支出の傾向や無意識の理由が見えてきます。
- 支出のパターンを振り返る: 一週間や一ヶ月に一度、上記のメモやクレジットカードの明細などをざっと見てください。特に理由が思い出せない支出や、感情的に使ってしまったお金がないか確認します。これは反省のためではなく、自分の無意識のパターンを把握するための行動です。
「価値ある支出」にフォーカスするシンプル思考
無意識の支出に気づき始めたら、次に考えるべきは「自分にとって本当に価値のあるものは何か」ということです。マネーミニマリズムの考え方は、単にお金を使わないことではありません。自分にとって本当に大切で、満足度が高いものにお金を使うことを重視します。
- 自分の価値基準を考える: 何にお金を使うと、あなたは心から満たされるでしょうか? モノを持つこと、特定の体験をすること、誰かのために使うこと。この問いは、自分にとっての「お金を使う意味」を明確にしてくれます。
- 「なんとなく」を減らす: 無意識の支出は、「なんとなく」によるものが大半です。「なんとなく」で買っていたものを減らすだけで、お金は自然と残るようになります。減らした分のお金は、自分が定めた「価値ある支出」や貯蓄に回しましょう。
- お金を使うことに罪悪感を持たない: 価値基準に基づいた支出は、あなたを豊かにするものです。そこに罪悪感を持つ必要はありません。大切なのは、無意識に流されるのではなく、意識的に、自分の価値観に沿ってお金を使うことです。
無意識に貯まる仕組みづくり
無意識の支出を減らすことに加えて、無意識に貯まる仕組みを作ることも効果的です。
- 先取り貯蓄を徹底する: 給料が入ったらすぐに一定額を貯蓄用口座に移す「先取り貯蓄」は、最もシンプルで効果的な方法です。初めから手元にお金がないと思えば、無意識に使うことを防げます。
- 貯蓄や投資の自動化: 毎月決まった日に自動で貯蓄や積立投資が行われる設定をしておけば、意識せずにお金が貯まったり増えたりする状態が作れます。NISAやつみたてNISAなどの制度を活用することも検討してみましょう。複雑な商品を選ぶ必要はありません。シンプルに市場全体に分散投資できるインデックスファンドなどを少額から積み立てるだけでも、長期的な資産形成に繋がります。
まとめ
貯蓄が進まない理由の多くは、お金を使う「無意識の理由」にあります。感情や周りの目、習慣、情報に流されるなど、自分でも気づかない要因によって、お金が計画通りに残らない状況が生まれてしまいます。
この状況を変えるために、まずは日々の支出に少しだけ意識を向けてみましょう。「立ち止まって問いかける」「簡単なメモを残す」「パターンを振り返る」といったシンプルな習慣から始めてください。
そして、自分の価値基準を明確にし、「なんとなく」の支出を減らし、本当に価値あるものにお金を使う意識を持つことが大切です。さらに、先取り貯蓄や自動化によって、無意識に貯まる仕組みを作ることで、無理なく、そして堅実に貯蓄を増やしていくことができるでしょう。
このシンプルなお金の向き合い方が、あなたの将来の安心へと繋がる第一歩となるはずです。まずは今日から、一つだけ、日々の支出に意識を向けることから始めてみてはいかがでしょうか。