将来のお金の不安をなくす。漠然とした心配を具体的な貯蓄目標に変えるシンプルステップ
漠然としたお金の不安を、具体的な一歩に変える
年齢を重ね、キャリアも安定してくるにつれて、将来必要となる大きなお金について考える機会が増えてくるかもしれません。お子様の教育資金、マイホームの購入資金、あるいはご自身の老後資金など、漠然とした不安を感じることもあるのではないでしょうか。
この漠然とした不安は、「どれくらいお金が必要なのか分からない」「いつまでに用意すれば良いのか想像がつかない」「今からどう準備すれば間に合うのか分からない」といった不明確さから生まれることが少なくありません。そして、この「分からない」状態が続くと、具体的な行動を起こせず、時間だけが過ぎていってしまう、という方もいらっしゃるでしょう。
私たちは、サイト「マネーミニマリズム」を通じて、お金に対する価値観を見直し、シンプルに貯める考え方と習慣をお伝えしています。お金に関する漠然とした不安も、シンプルに考え、具体的な形にすることで、解消への第一歩を踏み出すことができます。
この記事では、その漠然としたお金の不安を、具体的な貯蓄目標に変え、着実に貯めるためのシンプルステップをご紹介いたします。
なぜ、漠然とした不安は解消しにくいのか
漠然とした不安は、形がないために対処が難しいものです。例えば、「なんとなく体がだるい」と感じるだけでは、何をすれば良いか分かりませんが、「風邪をひいたようだ」と分かれば、休む、薬を飲む、といった具体的な行動が取れます。
お金の不安もこれと同様です。「将来お金が足りなくなるかもしれない」という漠然とした感覚だけでは、次に何をすべきか見えてきません。結果として、今の支出を漫然と続けたり、貯蓄ペースが上がらなかったりすることに繋がります。
この不安を解消し、将来のために着実にお金を準備するためには、まず「不安の正体」を具体的に捉えることが重要です。
ステップ1:将来必要なお金を「見える化」する
漠然とした不安を具体的な目標に変える最初のステップは、「将来必要なお金」をできる限り具体的にすることです。
- いつ: そのお金は、いつ頃必要になりそうでしょうか?(例:10年後に教育費、5年後にマイホームの頭金、25年後に老後資金など)
- 何に: そのお金は何のために必要でしょうか?(例:大学入学費用、住宅購入、定年後の生活費など)
- いくら: そのために、おおよそいくら必要になりそうでしょうか?
もちろん、将来のことは完全に正確には予測できません。教育費であれば進路によって変わりますし、住宅価格も変動します。しかし、ここで重要なのは、完璧な金額を出すことではなく、「ざっくりとした目安」を掴むことです。
インターネットで「大学費用 平均」「住宅購入 頭金 目安」「老後資金 必要額」といったキーワードで検索すると、多くの情報が見つかります。これらの情報を参考に、ご自身の状況に当てはめて考えてみてください。FP(ファイナンシャルプランナー)のサイトにあるシミュレーションツールなどを利用するのも有効です。
例えば、「10年後に子供の大学費用として500万円、20年後に自分たちの老後資金として2000万円を準備したい」といったように、「〇年後に〇〇のために〇〇万円必要」という形で、具体的な数字と時期を設定してみましょう。
ステップ2:現在の状況を「シンプルに把握」する
次に、目標達成に向けて、ご自身の現在地を把握します。
- 現在の貯蓄総額はいくらか?
- 毎月、または年間でどれくらい貯蓄できているか?
家計簿を細かくつけるのが苦手な場合でも、この2点だけは把握してみてください。一番シンプルなのは、銀行口座や証券口座の残高を確認することです。ネットバンキングであれば、いつでも手軽に確認できます。
現在の貯蓄総額と、ステップ1で見える化した目標額との間に、どれくらいのギャップがあるのかを認識します。そして、現在の貯蓄ペースを維持した場合、目標達成までにおおよそどれくらいの時間がかかるかを試算してみましょう。目標時期までに間に合うか、足りない分はどれくらいかが見えてきます。
ステップ3:目標達成までの「シンプル計画」を立てる
ステップ1で見える化した目標と、ステップ2で把握した現在地。この二つが分かれば、自ずと今後何をすべきかが見えてきます。
例えば、「10年後に500万円必要だが、現在の貯蓄ペースでは300万円しか貯まらない」というギャップが分かったとします。この差額200万円を10年で埋めるためには、年間20万円、月々約1万7千円、今の貯蓄に上乗せする必要があることが分かります。
このように、必要な金額から逆算して、年間や月間の具体的な貯蓄目標額を設定します。目標額を達成するために、以下の選択肢を検討することになります。
- 支出を見直す: 月々1万7千円を捻出するために、どこかの支出を減らせないか検討します。ただし、無理な節約は長続きしません。「マネーミニマリズム」の考え方に基づき、ご自身にとって本当に価値あるものにお金を使うことを意識し、無駄な支出をシンプルに削る視点が重要です。(具体的な支出の見直し方法は他の記事でも紹介しています)
- 収入の一部を回す: 収入が増えた場合に、その増収分の一部または全額を貯蓄や投資に回すことで、貯蓄ペースを加速させます。
- 資産運用で増やす: 貯めたお金の一部を、リスクを理解した上で、シンプルで堅実な方法(例:積立投資)で運用し、お金を増やすことを目指します。ただし、投資は元本保証がないことを理解しておく必要があります。
大切なのは、最初から完璧な計画を立てようとしないことです。まずは、「これならできそうだ」と思える範囲で計画を立て、実行に移すことです。もし、どうしても目標額が高すぎる場合は、目標の時期を少しずらしたり、金額を現実的なラインに調整することも、計画を継続させる上では必要な柔軟性です。
シンプル計画を「習慣化」する
計画を立てたら、それを実行し、習慣に落とし込むことが重要です。
最もシンプルで効果的な方法の一つは、「先取り貯蓄」や「自動積立」の仕組みを活用することです。給料が入ったらすぐに、目標額の一部を別の口座に移したり、自動積立投資の設定をしておいたりすることで、意識せずにお金が貯まる仕組みを作ることができます。これにより、「残ったお金を貯蓄しよう」と考えているとなかなか貯まらない、という状況を避けることができます。
一度立てた計画は、定期的に見直すことをお勧めします。年に一度、年末や年度末など、ご自身のライフスタイルに合わせて、目標額や計画にブレがないか、必要に応じて修正が必要かをシンプルにチェックする時間を取りましょう。
完璧を目指さず、「おおよそ計画通りに進んでいるか」という視点で気楽に取り組むことが、継続の鍵となります。
具体的な目標が、将来の安心と現在のゆとりを生む
将来のお金に対する漠然とした不安は、具体的な目標を設定し、シンプルに計画を立て、着実に実行していくことで、次第に解消されていきます。
「〇年後に〇〇万円貯める」という具体的な目標があると、日々の支出や貯蓄に対する意識が変わり、「この支出は目標達成に役立つか?」「あといくら貯めれば良いか」といった判断基準が明確になります。これは、「マネーミニマリズム」の考え方そのものです。本当に価値ある将来のために、今どうお金を使うか、どう貯めるかという本質が見えてくるのです。
不安が解消され、計画通りに進んでいるという実感は、将来への安心感だけでなく、現在を生きる上での心のゆとりも生み出します。
まずは、漠然とした「将来のお金が不安」という気持ちを、「〇年後に〇〇万円必要かもしれない」という具体的な数字に変えてみることから始めてみてはいかがでしょうか。その一歩が、お金に対する向き合い方をシンプルにし、将来への道を確実に開いてくれるはずです。