知らないうちに払っている無駄なお金をなくす。シンプルに始める「お金の断捨離」
収入は増えたはずなのに、なぜか貯蓄が増えないのはなぜか
仕事で一定のキャリアを積み、収入も以前より増えている。それなのに、なぜか思ったほど貯蓄が増えていかない。このような状況に、心当たりがある方もいらっしゃるかもしれません。
増えた収入に合わせて支出も自然と増えてしまう。あるいは、「これくらいは大丈夫だろう」と、細かい支出をあまり意識しなくなる。その結果、何にお金を使っているかよく分からないまま、月末に手元に残るお金が期待より少ない、という状況が起こりやすくなります。
貯蓄目標を達成するためには、単に収入を増やすだけでなく、支出を管理し、お金を効率的に使う意識が不可欠です。そして、効率化というと複雑に考えがちですが、実はとてもシンプルに取り組める方法があります。それは、「お金の断捨離」です。
お金の断捨離とは?無駄な支出を見つけるシンプルな考え方
私たちが普段行っている「断捨離」は、家の中にある不要なモノを手放し、本当に必要なものだけで暮らすことですよね。お金の断捨離も考え方は同じです。
口座から、あるいは財布から出ていくお金の中で、「本当に自分にとって価値があるのか」「使っているのか」「必要不可欠なのか」という問いを立て、そうでないものを手放していく、ということです。
特に厄介なのは、意識しないうちに「見えない支出」として払い続けているお金です。例えば、自動更新される有料サービスや、惰性で利用しているものなどです。これらは一つ一つは少額でも、積もり積もれば年間でかなりの金額になります。
お金の断捨離は、これらの「見えない支出」や「無駄だと気づいていない支出」を見つけ出し、手放すことで、シンプルにお金が貯まる体質を作るための大切なステップです。
あなたは大丈夫?「お金の断捨離」で見直すべき代表的な項目
では、具体的にどのような支出がお金の断捨離の対象になるのでしょうか。見落としがちな代表的な項目をいくつかご紹介します。
1. 利用していないサブスクリプションサービス
動画配信、音楽配信、オンラインストレージ、フィットネスアプリ、ニュースレターなど、様々なサブスクリプションサービスがあります。契約したものの、最近はほとんど利用していない、あるいは、そもそも一度も使っていない、というものはありませんか。
クレジットカードの明細や銀行口座の引き落とし履歴を確認し、現在契約しているサブスクサービスを全てリストアップしてみてください。そして、それぞれについて「直近1ヶ月で利用したか」「今後も利用する予定はあるか」「本当にその利用頻度に見合う価値を感じているか」というシンプルな問いを立ててみましょう。利用頻度が低い、あるいは価値を感じていないものは、迷わず解約を検討します。
2. 利用頻度の低いサービスや年会費
サブスク以外にも、定期的に費用が発生するサービスは多岐にわたります。
- 通信費: 契約しているスマートフォンのデータ容量やオプションは、実際の利用状況に見合っていますか。より安価なプランや格安SIMへの乗り換えで、通信費を大きく削減できる可能性があります。
- 保険料: 加入している生命保険や損害保険は、現在のライフスタイルや将来設計に合っていますか。必要以上の保障内容になっていたり、家族構成の変化で不要になったりしているものがないか、定期的に見直すことが大切です。
- クレジットカードの年会費: あまり使わないクレジットカードに年会費を払っていませんか。年会費無料のカードに切り替えるか、利用頻度の高いメインカードに集約することを検討しましょう。
- 各種会員費: スポーツクラブの幽霊会員になっていたり、あまり行かないお店の有料会員になりっぱなしだったりしませんか。
これらの項目も、一つずつ現在の状況と照らし合わせ、「本当に必要か」を見極めることが重要です。
3. 惰性で続けている小さな支出
毎日なんとなく買っているコンビニのコーヒー、必要以上に頻繁に利用するタクシー、読む時間がないのに買ってしまう雑誌など、習慣になっている小さな支出も積み重なると大きな金額になります。
これらは「断捨離」というよりは「習慣の見直し」ですが、お金の使い方に意識的になるという意味では同じです。「これは本当に必要か」「他に代替手段はないか」と立ち止まって考える習慣をつけるだけで、無駄な支出を減らすことができます。
シンプルに「お金の断捨離」を進める3つのステップ
お金の断捨離は、難しく考える必要はありません。次の3つのステップでシンプルに進められます。
ステップ1:お金の流れを「見える化」する
まずは、自分が何にどれだけお金を使っているのかを知ることから始めます。複雑な家計簿をつける必要はありません。
- クレジットカードのオンライン明細を確認する
- 銀行口座の引き落とし履歴をチェックする
- 可能であれば、家計簿アプリなどで簡単な記録をつける(レシートを全て保管する必要はありません)
特に、「定期的な引き落とし」や「自動更新」されているものに注目します。何にいくら払っているのか、全体像を掴むことが第一歩です。
ステップ2:一つ一つの支出に「問い」を立てる
見える化した支出項目をリストアップしたら、それぞれに対して次のシンプルな問いを立ててみましょう。
- 「これは、本当に自分にとって価値があるか?」
- 「直近1ヶ月で、これを使うことで得られるメリットがあったか?」
- 「今後も、これを継続する必要があるか?」
もし少しでも「疑問」を感じる項目があれば、それが断捨離の対象候補です。迷ったら、「一旦やめてみて、本当に困るか試す」という考え方も有効です。
ステップ3:不要なものを「手放す」アクションを起こす
問いに対する答えが「NO」であれば、実際に行動を起こします。
- サブスクサービスは、ウェブサイトやアプリから解約手続きを行います。
- 保険や通信プランは、契約内容を確認し、窓口やカスタマーセンターに相談します。
- 使わないクレジットカードは、退会手続きを行います。
- 惰性の支出は、「〇〇の場合は買わない」といった自分なりのルールを決め、実践します。
このステップが最も重要です。見直すだけで終わらず、実際にお金を払うのを止めることで、初めて効果が生まれます。
お金の断捨離がもたらすもの
お金の断捨離は、一時的な節約テクニックではありません。自分にとって何が大切で、何にお金を使うべきかを真剣に考える、価値観の見直しそのものです。
無駄な支出をなくすことで、手元に残るお金が増え、貯蓄に回せる余裕が生まれます。また、自分が本当に価値を感じるものにお金を使えるようになるため、満足度も高まります。
これは、単にお金を貯めるだけでなく、お金に支配されるのではなく、自分自身が主体的にマネーをコントロールするための第一歩です。
まずは、今日、あるいは週末に少し時間を取って、クレジットカードの明細や銀行口座の引き落とし履歴を確認してみてはいかがでしょうか。もしかしたら、あなたが気づいていない「見えない支出」が、お金を貯めるのを妨げているかもしれません。シンプルなお金の断捨離で、もっとお金と心にゆとりを持つ生活を目指しましょう。