収入増を『将来のお金』に変える。シンプルに始める貯蓄習慣の作り方
収入が増えたのに、なぜか貯蓄が増えないと感じたら
働きがいがあり、キャリアを重ねる中で収入が増えていくことは、努力の成果であり喜ばしいことです。しかし、同時に「なぜか以前より貯蓄が増えない」「気がつけば収入が増えた分だけ支出も増えている」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。特に、将来の大きなライフイベント（マイホーム購入や子供の教育費など）に備えたいと考えている方にとって、貯蓄が目標ペースに届かない現状は、漠然とした不安につながることがあります。
この「収入増に伴う支出増」は、多くの方が経験することです。これは決してあなたが浪費家になったわけではなく、むしろ収入が増えたことで「使えるお金が増えた」という心理が働き、無意識のうちに支出のハードルが下がってしまうことが一因と考えられます。また、周囲の環境の変化や、少し良いものを選びたくなる気持ちも自然なことです。
ここで大切なのは、自分を責めるのではなく、シンプルに「お金の使い方の習慣」を見直す機会と捉えることです。サイト「マネーミニマリズム」では、お金に対する価値観を見直し、無駄を省き、本当に価値あるものにお金を使うという考え方を大切にしています。これは、増えた収入を効果的に貯蓄へ繋げるためにも非常に有効な視点です。
この記事では、増えた収入を単なる「使えるお金」として消費するのではなく、『将来のためのお金』としてしっかりと確保するための、シンプルで無理なく始められる習慣の作り方をご紹介します。複雑な家計管理や難しい金融知識は必要ありません。あなたの収入増を、将来の安心と心のゆとりへと繋げるためのヒントとなれば幸いです。
なぜ、増えた収入は「意識しないと」貯蓄に回らないのか
収入が増えると、私たちはいくつかの選択肢に直面します。「消費に回す」「貯蓄に回す」「投資に回す」といった選択です。ここで意識しておきたいのが、「パーキンソンの法則」にも似た「支出は収入の額まで膨張する」という傾向です。手元にあるお金が多いほど、人は無意識のうちにそれを使ってしまう傾向があるのです。
特に、明確な目的や行き先が決められていないお金は、日々の「なんとなく支出」や、少し贅沢な買い物に使われやすくなります。これにより、収入が増えたはずなのに、気がつけば月末にはお金が残らない、という状態になりがちです。
つまり、増えた収入を『将来のためのお金』に変えるには、「意識的に、消費以外の行き先を決めてあげる」ことが不可欠なのです。この「行き先を決める」プロセスを、シンプルで継続可能な習慣にすることが、貯蓄を成功させる鍵となります。
シンプルに『将来のお金』を確保する習慣の作り方
増えた収入を将来のために確保するための習慣作りは、難しく考える必要はありません。「お金の目的地を決める」というシンプルな考え方から始めましょう。
ステップ1：『将来のお金』の行き先を漠然と定義する
まずは、何のためにお金を貯めたいのか、その「行き先」を考えてみましょう。具体的な金額や時期が完璧に決まっていなくても構いません。
例えば、
- 10年後の子供の教育費
- 15年後のマイホーム購入資金の頭金
- 老後に向けた資産形成
- 万が一のための安心資金（生活防衛資金）
など、あなたが将来に対して抱いている漠然とした不安や希望を言葉にしてみましょう。これが、『将来のためのお金』の「目的地」になります。この目的地が明確になるほど、お金を貯めることへのモチベーションが高まります。
ステップ2：増えた収入の一部を『将来のお金』として「先に」確保する仕組みを作る
これが最も重要なステップです。手元に残ったお金を貯蓄に回す「残ったら貯める」のではなく、「先に貯める」仕組みを作りましょう。
増えた収入の中から、まずは一部の金額を『将来のためのお金』として、給与が入ったらすぐに別の口座に移したり、自動積立の仕組みを活用したりすることをお勧めします。
例えば、
- 給与振込口座とは別の銀行口座に、毎月一定額を自動送金する設定を行う
- 勤務先の財形貯蓄制度を利用する
- iDeCoやつみたてNISAなど、非課税制度を活用した自動積立投資を始める（これは資産形成の考え方ですが、シンプルに設定すれば手間がかかりません）
ポイントは、「自分の意思で操作する手間をなくす」ことです。一度仕組みを作ってしまえば、意識せずとも定期的にお金が『将来の目的地』へと向かっていきます。増えた収入の全てを先に確保する必要はありません。まずは無理のない範囲で、例えば増えた金額の3割から5割といった割合や、具体的な金額を決めて始めてみましょう。
ステップ3：残ったお金でシンプルに暮らす
ステップ2で『将来のためのお金』を先に確保した後の手取り収入で、日々の生活を送りましょう。ここでの考え方は、まさにマネーミニマリズムの視点です。
残ったお金で最大限に満足できる使い方は何かを考えます。無意識の消費や、他人からどう見られるかを気にした支出ではなく、あなた自身が「本当に価値がある」「満たされる」と感じるものにお金を使います。
- 毎日のコーヒー代を見直す
- 利用頻度の低いサブスクリプションサービスを解約する
- 衝動買いを防ぐために、一度立ち止まって考える習慣をつける
といった具体的な行動は、この「残ったお金でシンプルに暮らす」という考え方に基づいています。先に必要な貯蓄を確保していれば、残ったお金は罪悪感なく、自分にとって本当に大切なことに使うことができます。
ステテップ4：定期的に（年に一度程度）見直す
一度作った仕組みも、あなたの収入やライフステージの変化に合わせて見直すことが大切です。年に一度、例えば昇給のタイミングや年度末などに、設定金額が適切か、目的地の再確認は必要かなどをチェックしましょう。
この見直しは、あくまでシンプルに。「うまくいっているか」「もっと改善できる点はあるか」といった視点で、気楽に行うことが継続の秘訣です。
シンプルな習慣がもたらすもの
増えた収入をシンプルに『将来のお金』に変える習慣は、単に貯蓄額を増やすだけでなく、あなたに多くのプラスをもたらします。
- 将来への安心感: 漠然とした不安が減り、目標に向かって着実に進んでいる実感を得られます。
- 心のゆとり: お金に対するコントロール感が高まり、無駄遣いへの後悔が減り、ストレスが軽減されます。
- 価値観に基づいた消費: 本当に大切なものにお金を使う意識が高まり、日々の満足度が向上します。
まとめ
収入が増えることは素晴らしい機会です。この機会を最大限に活かし、将来の安心を築くために、ぜひ「増えた収入をシンプルに『将来のお金』に変える習慣」を取り入れてみてください。
まずは、何のために貯めたいのか、その目的を漠然と定義することから始めましょう。そして、増えた収入の一部を「先に」確保する仕組みを一つ作ってみてください。自動送金や積立投資など、手間がかからない方法を選ぶのが継続の鍵です。
このシンプルな習慣が、あなたの将来の安心を確かなものとし、日々をより豊かにしてくれるはずです。複雑に考えず、まずはできることから、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。