「収入増なのに貯まらない?」脱出。シンプルに実践する「お金の使い方の原則」
収入が増えても、なぜか貯まらないと感じていませんか?
キャリアを積み、収入が以前より増えたはずなのに、思ったように貯蓄が増えない。むしろ、前よりお金が残らないように感じる。そうした悩みを抱えている方は少なくありません。これは特別なことではなく、多くの人が経験する現象です。
収入が増えると、少し良いものを買ったり、サービスを利用したり、外食の機会が増えたりと、自然と支出も増えがちになります。これは「ライフスタイル・クリープ」とも呼ばれ、一度上がった生活レベルを下げるのは難しいものです。しかし、この状態が続くと、将来のための貯蓄や大きな目標に向けた準備が進まず、漠然とした不安を感じることになります。
当サイト「マネーミニマリズム」では、お金に対する価値観を見直し、シンプルに貯める考え方と習慣をご紹介しています。今回は、収入が増えた状況でも着実にお金を貯めるために実践したい、「お金の使い方の原則」についてお話しします。
収入増加分が「消える」理由:ライフスタイル・クリープとは
収入が増えると支出が増える主な要因は、生活水準の上昇です。これは意識的に贅沢をしているつもりはなくても、無意識のうちに起こります。
- 「これくらいなら大丈夫だろう」という油断: 収入が増えた安心感から、小さな無駄遣いが増える。
- 周りに合わせた支出: 同僚や知人との付き合いで、以前より高価な場所で飲食したり、レジャーにお金を使ったりする機会が増える。
- 利便性や快適さへの投資: 時間を買うためにタクシーに乗る回数が増えたり、少し高価でも便利なサービスを利用したりする。
- 自分へのご褒美: 仕事の成果や頑張りを理由に、衝動的な買い物をすることが増える。
こうした支出は、一つひとつは小さいかもしれませんが、積み重なると収入増加分を相殺してしまい、貯蓄に回せるお金が残らなくなります。
シンプルに実践する「お金の使い方の原則」
収入増という好機を活かし、将来のための資産を築くためには、お金に対する明確な原則を持つことが重要です。ここでは、シンプルで実践しやすい原則を3つご紹介します。
原則1:収入増加分の「使い道」を先に決める
最も強力な原則の一つが、これです。昇給などで収入が増えた場合、その増加分を「なかったもの」として扱い、先に貯蓄や投資に回してしまうのです。
例えば、手取り月収が5万円増えたとします。この5万円を、増えたその月から自動積立貯蓄や積立投資に回す設定をします。こうすることで、その5万円は最初から手元に残らないお金となり、生活水準を上げる誘惑に駆られにくくなります。
収入が増えてから考えよう、ではなく、「増えたらこうする」というルールを事前に決めておくことが成功の鍵です。これは、意思決定の回数を減らし、無意識の支出増加を防ぐシンプルで効果的な方法です。
原則2:「本当に価値があるもの」に優先順位をつける
闇雲に節約するのではなく、自分にとって何が本当に大切で、何にお金を使うことで最も満足度が得られるのかを明確にすることが、お金のミニマリズムに通じる考え方です。
- 価値観の棚卸し: 時間があれば、一度立ち止まって考えてみてください。「何のためにお金を貯めているのか」「何にお金を使う時に一番幸せを感じるのか」「逆に、何にお金を使っても後悔することが多いか」といった問いに向き合います。
- 価値に基づいた予算配分: 自分の価値観が明確になれば、それに沿ったお金の使い方ができるようになります。例えば、家族との時間や健康、自己成長に価値を見出すなら、それらに関わる支出を優先し、そうでない支出は思い切って減らすことができます。
「何となく」や「みんなやっているから」で支出するのではなく、自分の価値観に基づいた支出を心がけることが、満足度を高めながら無駄を減らすことに繋がります。
原則3:定期的な「お金の棚卸し」を習慣にする
一度お金の使い方の原則を決めても、時間の経過や状況の変化によって、無意識のうちに支出が増えてしまうことがあります。そこで、定期的に自分のお金の使い方を見直す「お金の棚卸し」を習慣にすることが重要です。
- 頻度を決める: 月に一度、あるいは四半期に一度など、無理なく続けられる頻度を決めます。
- 支出の内訳を確認: クレジットカードの明細や家計簿アプリなどを活用し、何にいくら使ったのかを把握します。特に、収入増加後に増えた支出がないか注意深く確認します。
- 原則に照らし合わせる: その支出が、原則1で決めた「先に回す分」を侵食していないか、原則2で考えた「本当に価値があるもの」に使えているかを確認します。
- 改善策を検討: 無駄が見つかった場合は、どうすればその支出を抑えられるか、あるいはもっと有効な使い方ができないかを具体的に検討します。
この棚卸しを習慣にすることで、早い段階で支出の増加に気づき、軌道修正することができます。これは複雑な家計簿をつけることではなく、「自分の資産状況と支出を定期的に確認する」というシンプルな行為です。
シンプルな原則実践のための具体的なステップ
これらの原則を日々の生活に取り入れるための具体的なステップをご紹介します。
- 収入増加分を把握し、自動で貯蓄・投資に回す設定をする: 会社の財形貯蓄や、銀行・証券会社の自動積立サービスを活用しましょう。手取り額の増加分から「いくらを先に回すか」を具体的に決め、設定します。
- 自分の「お金を使う上での価値観リスト」を作成する: ノートに書き出す、スマートフォンのメモに残すなど、自分にとって何が大切か(例: 家族との旅行、健康維持のためのジム、学びたいことへの投資など)をリストアップします。
- 毎月(または決めた頻度で)一度、お金の棚卸し日を設ける: カレンダーに予定として書き込み、その日は必ず支出を見直す時間を作りましょう。
- 家計管理をシンプルにする: 複雑なツールを使うのが苦手であれば、まずはクレジットカードや銀行口座を一つにまとめ、明細をチェックするところから始めましょう。見える化することが第一歩です。
まとめ:原則を持つことで、お金はもっとシンプルになる
収入が増えることは素晴らしい機会です。この機会を「収入増なのに貯まらない」という悩みに変えるのではなく、将来の安心や目標達成のための力に変えていくことができます。
今回ご紹介した「収入増加分の使い道を先に決める」「本当に価値があるものに優先順位をつける」「定期的なお金の棚卸しを習慣にする」という3つの原則は、どれもシンプルですが、非常に強力です。
これらの原則に基づき、あなた自身のお金との向き合い方を見直すことで、無駄な支出は自然と減り、本当に価値あるものにお金を使えるようになります。そして、着実に貯蓄が増えていくことを実感できるでしょう。
複雑なテクニックや情報に振り回される必要はありません。まずは、自分にとって大切な価値観を見つめ直し、今回紹介したシンプルな原則を一つずつ実践してみてください。それが、マネーミニマリズムの考え方に基づいた、あなたらしい豊かな未来への第一歩となるはずです。