シンプル投資入門:複雑な金融商品に頼らないお金の増やし方
これからお金を増やしたいと考えたとき、投資という言葉が頭に浮かぶ方は多いのではないでしょうか。しかし、「投資は難しそう」「どんな金融商品を選べば良いか分からない」「失敗するのが怖い」といった思いから、一歩を踏み出せずにいる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、投資の世界には多種多様な商品があり、情報も溢れています。しかし、お金を増やしていくために、必ずしも複雑な金融商品や高度な知識が必要なわけではありません。むしろ、シンプルに考えることこそが、長く続けるための鍵となります。
ここでは、複雑な金融商品に頼らず、堅実にお金を増やしていくためのシンプルな投資の考え方と、その始め方についてお話しします。
なぜ「シンプル」が大切なのか
お金を増やしたいという目標に対して、なぜシンプルな考え方が有効なのでしょうか。それは、複雑さは私たちを惑わせ、継続を難しくする傾向があるためです。
- 理解の難しさ: 複雑な金融商品は、その仕組みやリスク、手数料などが分かりにくいことがあります。理解できないものに大切なお金を投じるのは不安ですし、適切な判断ができません。
- 情報の過多: 世の中には様々な投資情報や「儲け話」が溢れています。複雑な情報に触れすぎると、どれが本当に自分にとって必要で、信頼できる情報なのかを見極めるのが難しくなります。
- 感情に流されやすくなる: 市場の変動やニュースに一喜一憂し、複雑な戦略を取ろうとすると、つい感情的な判断をしてしまいがちです。シンプルな方法であれば、淡々と続けることに集中できます。
- 継続の困難さ: 複雑な手法は管理に手間がかかったり、状況に応じた判断が必要になったりするため、忙しい日々の中で継続することが難しくなることがあります。
マネーミニマリズムの考え方では、「本当に価値あるものを見極め、無駄を省く」ことを重視します。これは投資においても同様です。無駄な複雑さを省き、お金を増やすための本質的な部分に焦点を当てることで、無理なく続けられる投資スタイルを確立できます。
シンプルなお金の増やし方:基本となる考え方
では、具体的にどのような考え方でお金を増やしていくのがシンプルなのでしょうか。以下の3つの原則が基本となります。
- 長期投資: 短期間で大きな利益を狙うのではなく、長い時間をかけて資産を育てることを目指します。これにより、市場の短期的な変動に一喜一憂することなく、複利の効果を享受しやすくなります。
- 積立投資: 毎月あるいは毎週といった定期的なタイミングで、一定額を投資します。これにより、購入単価を平均化する「ドルコスト平均法」の効果が期待でき、高値掴みのリスクを低減できます。また、一度設定すれば自動で投資が進むため、手間がかかりません。
- 分散投資: 一つの資産や地域に集中せず、複数の資産クラス(例:株式、債券)や地域に分けて投資します。これにより、一つのものが値下がりしたときのリスクを分散できます。
この「長期・積立・分散」という考え方は、多くの専門家が推奨する、再現性が高く、比較的リスクを抑えながら資産を形成していくための王道とも言えるアプローチです。
何から始めるか:シンプルに実践するためのステップ
シンプルに投資を始めるには、具体的にどうすれば良いのでしょうか。
まず、ご自身の資産状況を把握し、毎月いくらなら無理なく積立投資に回せるかを確認します。生活防衛資金(緊急時のお金)を確保した上で、余裕のある資金を投資に充てることが重要です。
次に、積立投資に適した金融商品を選びます。シンプルさを重視するなら、特定の指数(例:全世界株式指数、全米株式指数など)に連動する投資信託やETF(上場投資信託)がおすすめです。これらの商品は、一つ購入するだけで、世界中の様々な企業や資産に分散投資しているのと同じ効果が得られるため、個別の企業分析など複雑な手間がかかりません。
特に、税制上の優遇措置があるつみたてNISAやiDeCoといった制度を活用することを検討しましょう。これらの制度は、長期・積立・分散投資を後押しする設計になっており、投資から得られる利益にかかる税金が非課税になるなど、大きなメリットがあります。制度についても、仕組みはシンプルで、一度理解すればあとは積立設定をしておけば良いものがほとんどです。
金融機関(証券会社など)を選び、口座を開設したら、積立設定を行います。毎月の積立金額と購入する商品を決めれば、あとは自動的に買付が行われます。
これで、シンプルな積立投資がスタートします。あとは、設定した積立を続けながら、年に一度程度、保有している資産の状況を確認するだけで十分です。日々の価格変動に一喜一憂する必要はありません。
複雑な金融商品を避ける理由
世の中には、毎月分配型ファンド、テーマ型ファンド、個別株式投資、FX、仮想通貨など、様々な投資手段があります。これらの中には大きなリターンを得られる可能性のあるものもありますが、同時にリスクも高く、仕組みが複雑で理解が難しいもの、あるいは頻繁な売買が必要で手間がかかるものも少なくありません。
シンプルに堅実な資産形成を目指すならば、まずは「長期・積立・分散」の原則に基づいた、コストの低いインデックスファンドなどを活用した積立投資から始めることをおすすめします。複雑な商品や手法は、それらを理解し、リスクを管理するための知識や時間が必要となるため、シンプルさとは異なります。
まとめ:シンプルに始めて、長く続ける
お金を増やしたいという思いに対して、複雑な知識や難しい分析は必要ありません。むしろ、「長期・積立・分散」というシンプルな考え方に基づき、手間のかからない方法で実践することが、多くの方にとって最も堅実で継続しやすいアプローチです。
まずは、ご自身の家計を見直し、投資に回せる金額を確認することから始めてみてください。そして、税制優遇制度も活用しながら、シンプルで低コストな投資信託等を選び、積立設定を行ってみましょう。
一度シンプルな仕組みを作ってしまえば、あとは時間を味方につけて、コツコツと資産を育てていくことができます。複雑な情報に振り回されることなく、ご自身の価値観に基づいたシンプルなお金との付き合い方を続けていくことが、将来の安心に繋がる一歩となるはずです。