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収入アップの機会を逃さない。まず取り組むべき「シンプルなお金の振り分け術」

Tags: 収入アップ, 貯蓄, 支出管理, お金の使い方, シンプル家計簿

収入が増えることは、多くの方にとって喜ばしい出来事です。キャリアを積み、努力が実った結果として収入が上がったという方もいらっしゃるでしょう。しかし、喜びと同時に「収入が増えたのに、なぜか手元にお金が残らない」「気づいたら前より支出が増えている」と感じている方も少なくありません。

これは決して珍しいことではなく、収入増に伴って生活レベルが自然と上がったり、気が大きくなって衝動的な支出が増えたりすることはよくあります。この機会を逃さず、将来の貯蓄や資産形成を加速させるためには、少し意識を変え、最初に取り組むべきことがあります。それは、「増えたお金の使い方」について、あらかじめシンプルなルールを決めておくことです。

収入アップの「落とし穴」とは

収入が増えたのに貯蓄が伸び悩む主な理由は、以下の点が挙げられます。

こうした変化は自然に起こりうるものですが、漫然と過ごしていると、せっかくの収入アップが貯蓄や資産形成に繋がらず、支出ばかりが増えてしまうことになります。

収入アップ時にまず取り組むべき「シンプルなお金の振り分け術」

収入が増えたら、まず「何に使おうか」と考えるのではなく、「増えた分のお金をどのように振り分けるか」を考える習慣をつけることが大切です。複雑な計算や細かな管理は必要ありません。シンプルに、増額分をいくつかの目的に振り分けるルールを決めましょう。

ここでは、シンプルで実践しやすい振り分けのステップをご紹介します。

ステップ1: まず「貯蓄」に振り分ける割合を決める

増えた収入の中で、最も優先的に貯蓄に回す割合を決めます。例えば、「増額分の50%は貯蓄に回す」といったように、具体的な目標を設定します。この貯蓄は、将来の大きな目標(マイホームの頭金、教育費、老後資金など)のために、別口座に移したり、積立投資に回したりすることを検討します。

重要なのは、「残ったお金を貯蓄する」のではなく、「まず貯蓄分を確保する」という考え方です。給与が振り込まれたらすぐに、この決めた割合の金額を貯蓄用口座に移す、あるいは積立設定額を増やすといった「先取り」の仕組みを作るのが最も効果的です。

ステップ2: 「自己投資」または「将来のための投資」に振り分ける

次に、自分自身の成長や将来の可能性を広げるための投資に使う分を決めます。例えば、「増額分の20%は自己投資に回す」といった割合です。これには、仕事に役立つスキルアップのための学習費用、健康維持のための費用、あるいはつみたてNISAやiDecoといった資産形成のための積立額を増やすことも含まれます。

目先の消費だけでなく、将来の収入増やQOL向上に繋がる「良いお金の使い方」を意識的に取り入れます。

ステップ3: 「価値観に沿った消費」に使う

ステップ1と2で将来のために振り分けた後の残りの金額を、現在の生活を豊かにするための消費に使います。ここで大切なのは、「収入が増えたから何でも買って良い」とするのではなく、「自分にとって本当に価値のあるものは何か」を改めて考え、その価値観に沿った支出をすることです。

例えば、本当に美味しいと感じる食事、心からリラックスできる趣味、大切な人との体験など、自分にとって満足度の高いものにお金を使います。漫然とした、なくても困らない支出は意識的に減らすようにします。増額分のうち、この「価値観に沿った消費」に回せる割合を決めておくと、無駄遣いを防ぐ目安になります。

ステップ4: 残りを「予備費」としておく

上記で振り分けきれなかった分は、急な出費に備えるための予備費として、すぐに引き出せる口座に置いておくことも一つの方法です。これにより、想定外の支出があった際にも、積み立てた貯蓄や投資を崩す必要がなくなります。

シンプルに継続するための工夫

この振り分け術を継続するには、仕組み化が鍵です。

まとめ

収入アップは、将来の経済的な安定に向けた貯蓄や資産形成を加速させる絶好のチャンスです。この機会に漫然と支出を増やすのではなく、今回ご紹介したような「シンプルなお金の振り分け術」を実践してみてはいかがでしょうか。

増えた収入のうち、まずどのくらいの割合を貯蓄や将来への投資に回すか、そして残りをどのように価値のある消費に使うか。シンプルなルールをあらかじめ決めておくことで、無駄な支出の増加を防ぎ、着実に資産を築くことができるようになります。

まずは、増えた収入の何割を貯蓄に回すか、という一つのルールから決めて、小さな一歩を踏み出してみましょう。その一歩が、将来の大きな安心に繋がるはずです。