給与アップを将来に繋げる。シンプルに考える「お金の置き場所」と振り分け方
収入が増えたはずなのに、なぜか貯蓄が増えないと感じていませんか?
日々の仕事に真摯に取り組み、実績が評価されて収入が増えることは、喜ばしいことです。しかし、同時に「あれ?収入は増えたはずなのに、なぜか思ったほど貯蓄が増えないな」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
収入が増えると、少しだけ生活レベルを上げたり、これまで我慢していたものを買ったりと、支出が増える機会も自然と増えます。それは決して悪いことではありません。しかし、増えた収入を漠然と管理していると、気づかないうちに支出が増加し、「収入増=支出増」という状態に陥ってしまうことがあります。
私たちは「マネーミニマリズム」の考え方を通して、お金に対する価値観を見直し、シンプルにお金を貯める考え方と習慣をご紹介しています。今回の記事では、特に「収入が増えたのに貯蓄が進まない」という課題に対し、増えたお金をどのように捉え、どのように「置き場所」を決めることで、無理なく将来のための貯蓄を増やしていけるのかをシンプルにご説明します。
増えた収入を「漫然と使わない」ためのシンプル思考
増えた収入を効果的に貯蓄に繋げるために、最も大切なのは「増えたお金を漫然と使わない」という意識を持つことです。そして、その意識を具体的な行動に変えるために、「増えたお金の置き場所」をあらかじめ決めておくことが有効です。
これは、「家計簿をつけて細かく支出を管理する」といった複雑な作業ではありません。増えた収入を、大きく分けていくつかのシンプルな「箱」に振り分ける、という考え方です。この「箱」こそが、「お金の置き場所」です。
シンプルに考える「お金の置き場所」は、主に以下の3つです。
- 将来のための「貯める・増やす」場所
- 今を豊かにする「使う」場所
- いざという時の「備える」場所(これは既存の貯蓄に加えて、増えた収入で強化できる部分)
増えた収入が入ってきたら、まずはこれらの「置き場所」に優先順位をつけて、自動的に振り分ける仕組みを作ることを目指します。
置き場所①:将来のための「貯める・増やす」場所に優先的に振り分ける
増えた収入の最大の活用法は、将来のための資産形成を加速させることです。ここでの「将来」とは、漠然としたものではなく、マイホームの頭金、お子様の教育費、ご自身の老後資金など、具体的な目標と紐づけることで、より貯蓄へのモチベーションが高まります。
増えた収入は、まずこの「貯める・増やす」場所へ優先的に移動させることをルールにします。
- 「貯める」場所:
- 銀行の自動積立定期預金や、目的別口座などが活用できます。給与振込口座から、決まった金額や割合を自動的に移動させる設定をしましょう。
- 「増えた収入の〇%(例えば50%や70%)」あるいは「増えた金額から毎月〇万円」といった具体的なルールをシンプルに決めます。
- 「増やす」場所:
- ここでは、複雑な投資ではなく、積立投資の考え方を取り入れます。NISAやつみたてNISAといった制度を活用することも検討できますが、まずは「毎月一定額をコツコツと積み立てていく」というシンプルな仕組みを理解することが重要です。
- 証券会社の口座で、指定した投資信託などを毎月自動で購入する設定をします。これも、給与振込口座から自動的に証券口座に入金されるように設定することで、手間なく自動化できます。
この「貯める・増やす」場所への振り分けは、給与が入金されたら「すぐに」、そして「自動で」行うことがポイントです。手元にお金が残っていると、無意識に使ってしまう可能性が高まります。
置き場所②:今を豊かにする「使う」場所を意識する
増えた収入の全てを将来のために回す必要はありません。今現在の生活をより豊かにするために、意識的に「使う」お金も大切です。しかし、ここでも「漫然と使う」のではなく、「何に価値を感じてお金を使うのか」というミニマリズムの視点を持つことが重要です。
- 増えた収入の一部を、「自分にとって本当に価値ある体験」や「日々の生活の質を向上させるもの」に使う予算として確保します。
- 例えば、「学びのための自己投資」「家族との特別な体験」「趣味への支出」など、具体的な目的や項目を決めておくと、無駄な支出を防ぎやすくなります。
- 大切なのは、この「使う」場所への振り分けは、「貯める・増やす」場所への振り分けの後に行う、という優先順位を明確にしておくことです。
置き場所③:いざという時の「備える」場所を強化する
もし、まだ十分な緊急予備資金がない場合は、増えた収入の一部をこの「備える」場所、つまり生活防衛資金用の口座に振り分けることも重要です。一般的に、生活費の3ヶ月~1年分程度の現金をすぐに引き出せる場所に置いておくと安心だと言われています。
シンプルなルール設定と継続のポイント
- ルールはシンプルに: 「増えた収入の〇%は貯蓄、〇%は投資、残りは使う分」のように、分かりやすいルールを設定します。複雑なルールは続きません。
- 「先取り」と「自動化」: 給与が入ったらすぐに、決めた割合や金額をそれぞれの「置き場所」に自動で振り分ける設定をします。これが最も効果的な方法です。
- 定期的な見直し: 一度ルールを決めたら終わりではなく、ライフステージの変化や収入の変化に合わせて、年に一度など定期的にルールを見直しましょう。
まとめ:増えた収入を「将来への投資」と捉える
収入が増えたのに貯蓄が増えないという状況は、お金の管理方法をシンプルに見直す良い機会です。増えた収入を漫然と消費するのではなく、「将来のための投資」と捉え、使う、貯める、増やす、備えるというシンプルな「置き場所」に、優先順位をつけて自動的に振り分ける仕組みを作りましょう。
このシンプルな習慣を身につけることで、無駄な支出を抑えながら、着実に将来のための資産を築いていくことができます。まずは、増えた収入からほんの一部でも良いので、「将来のための貯める・増やす」場所に自動で振り分ける設定から始めてみてはいかがでしょうか。それが、お金に対する不安を減らし、将来への安心感を高める第一歩となるはずです。