「お金の意思決定」をシンプルに。迷わず「賢く使う・貯める」ための自分ルール
収入が増えても貯蓄が伸びないと感じていませんか
キャリアを重ね、収入が安定してきたと感じる一方で、「あれ?思ったより貯蓄が増えていないな」と漠然とした不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。収入が増えると、それに合わせて生活水準が上がり、支出も自然と増えてしまうことは少なくありません。将来のための貯蓄や、より効率的にお金を増やしていく方法を知りたいと思っても、世の中には複雑な情報があふれており、何から手をつければ良いのか迷ってしまうこともあるかと思います。
私たちは日々の生活で、無数のお金に関する「意思決定」を行っています。目の前の商品を買うか買わないか、サブスクリプションサービスを契約するかしないか、週末の過ごし方にお金をかけるかなど、小さなものから大きなものまで、これらの判断の積み重ねが、私たちのお金の状態を形作っています。
しかし、これらの意思決定一つ一つにエネルギーを使い、迷っていると、衝動的な判断をしてしまったり、本当に大切なことにお金を使えなかったりすることがあります。これが、「収入が増えても貯蓄が増えない」「無駄な支出が多い気がする」といった課題に繋がる一因となるのです。
マネーミニマリズムの考え方でお金の意思決定をシンプルにする
サイト「マネーミニマリズム」では、お金に対する価値観を見直し、シンプルにお金を貯める考え方と習慣を紹介しています。この考え方を、日々の「お金の意思決定」に応用することで、迷いを減らし、無駄をなくし、賢くお金を使う・貯める体質を築くことができます。
お金に関する意思決定をシンプルにするとは、具体的には、その時々の感情や衝動に流されるのではなく、自分にとって何が本当に価値があるのかを基準に、お金を使うかどうかの判断を迷わず行える状態を目指すことです。そして、これは決して「ケチになる」ことではありません。本当に価値あるものには惜しみなくお金を使い、そうでないものからは思い切って手を引く、メリハリのあるお金との付き合い方です。
この状態を作るために有効なのが、「自分ルール」を持つことです。
迷わず「賢く使う・貯める」ための自分ルールの作り方
自分ルールとは、お金に関する自分なりの判断基準や行動指針のことです。これを明確にすることで、日々の小さな意思決定の負荷を減らし、自動的に「賢く使う・貯める」行動が取れるようになります。以下に、自分ルールを作るためのステップをご紹介します。
ステップ1:自分にとって「本当に価値あるもの」は何かを明確にする
これはマネーミニマリズムの根幹となる考え方です。何にお金を使うことで、あなたは心から満たされ、幸福を感じるのかを考えてみましょう。それは、家族との時間かもしれませんし、自己成長のための学び、健康維持、趣味、あるいは特定の体験かもしれません。
周りの人が持っているから、世間体が気になるから、といった理由ではなく、あなた自身の内側から湧き上がる価値観を大切にしてください。この「価値観の明確化」が、以降の自分ルール作りの土台となります。
ステップ2:現在の支出をシンプルに分類する
まずは現状を把握することから始めましょう。過去1〜2ヶ月の支出を振り返り、ざっくりとカテゴリ分けしてみてください。細かく分けすぎず、例えば以下のように大まかに分類するだけでも十分です。
- 必須支出: 家賃・住宅ローン、光熱費、通信費、食費(最低限)、保険料など、生活に不可欠なもの。
- 生活向上支出: 食費(外食、嗜好品)、衣服、美容、日用品など、生活の質を向上させるもの。
- 自己投資・将来投資: 学び、読書、健康維持(ジムなど)、資産形成(投資)など、自分や将来への投資。
- 特別支出: 旅行、大きな買い物、冠婚葬祭など、イレギュラーな支出。
- その他: 上記に当てはまらないもの、あるいは「目的が曖昧な支出」として分類することも有効です。
分類することで、自分のお金がどのように使われているのかが「見える化」され、無駄な支出が潜んでいそうなカテゴリが見えてきます。
ステップ3:各カテゴリにおける「自分ルール」を設定する
ステップ1で明確にした価値観と、ステップ2で見えた支出の現状を踏まえて、具体的な自分ルールを設定します。ルールは厳格なものでなくて構いません。無理なく続けられる範囲で、自分に合った基準を定めることが重要です。
ルールの例:
- 衝動買い防止ルール: 「○○円以上するものは、一度持ち帰り(あるいはカートに入れたまま)24時間考えてから決める」「買う前に『これは本当に私の価値観に合っているか?』と自問する」
- 生活向上支出ルール: 「被服費は月に△△円まで」「外食は週に◇回まで」
- サブスクルール: 「契約中のサブスクは月に一度見直し、利用頻度の低いものは解約する」「新しいサブスクを契約する際は、既存の何かを一つ解約する」
- 自己投資ルール: 「月に最低□□円は学びのために使う(本、セミナーなど)」
- その他の支出ルール: 「目的が曖昧な飲み会や付き合いの誘いは、自分の時間やお金の優先順位を考えて断る勇気を持つ」
これらのルールは、単に金額の上限を決めるだけでなく、「買う前に考える基準」「付き合い方の基準」といった、行動や思考に関するものも含めると効果的です。
ステップ4:貯蓄・投資に関するシンプルルールを設定する
お金を「使う」ルールだけでなく、「貯める」「増やす」に関するルールも設定しましょう。特に、貯蓄や投資は意思決定を自動化することが非常に効果的です。
ルールの例:
- 貯蓄ルール: 「給与が入ったら、まず□□円を貯蓄用口座に自動で振り替える」「ボーナスの△△%は必ず貯蓄に回す」
- 投資ルール: 「毎月決まった額を、NISAなどの非課税制度を活用して自動積立する」「複雑な金融商品は避け、自分が理解できるシンプルな投資対象を選ぶ」
給与からの天引きや、自動積立の設定は、お金を貯める・増やす上での意思決定をゼロにする強力なツールです。一度設定してしまえば、意識せずとも着実にお金が積み上がっていきます。
自分ルールは定期的に見直しましょう
一度自分ルールを決めたら、それが永続的なものと考える必要はありません。あなたの状況や価値観は変化していくものです。半年に一度、あるいはライフイベントがあった際などに、設定したルールが今の自分に合っているかを見直してみましょう。
ルールに縛られすぎず、柔軟に調整していくことが、無理なく継続するための鍵となります。
シンプルな意思決定がもたらすもの
お金に関する自分ルールを持つことで、日々の「使う」「貯める」といった意思決定にかかる時間や労力が大幅に削減されます。これにより、衝動的な支出が減り、無駄な出費に悩むことも少なくなるでしょう。
そして何より、自分の価値観に基づいたルールで判断できるようになるため、お金を使うことに対する満足度が高まります。本当に大切なことにお金を使えているという実感は、貯蓄目標の達成と同じくらい、あるいはそれ以上に、あなたに心のゆとりと豊かさをもたらしてくれるはずです。
まずは、今回ご紹介したステップの中から、一つだけでも取り組んでみてはいかがでしょうか。例えば、「衝動買い防止のための自分ルールを一つ決める」といった小さな一歩から始めてみてください。シンプルな自分ルールが、あなたのお金との付き合い方をより良いものに変えていくはずです。