「収入アップ=支出アップ」から抜け出す。価値観に基づいたシンプルなお金の使い方
収入が増えても、なぜかお金が貯まらないと感じていませんか?
キャリアを重ね、収入が安定してくると、多くの方が経験することかもしれません。一生懸命働いて手にした収入アップのはずが、気づけばそれと同じように支出も増えてしまい、期待していたほど貯蓄が増えていないという状況です。
これは決してあなたが浪費家だからではありません。収入が増えることで生活水準が上がり、付き合いが増えたり、ちょっとした贅沢を許容したりと、自然と支出も膨らんでしまうメカニズムが働くためです。しかし、将来の大きな目標(マイホームの購入、お子様の教育費、老後資金など)を考えると、このままで良いのかと漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
お金をシンプルに貯めるためには、単に節約するだけでなく、この「収入アップ=支出アップ」のサイクルから抜け出すための考え方と、無理なく続けられる習慣を身につけることが大切です。
「収入アップ=支出アップ」が起きる背景にあるもの
収入が増えると支出が増える背景には、いくつかの要因があります。
- ライフスタイルの変化: 収入に見合った生活をしようと、住まいや車、食事、レジャーなどにかけるお金が増えます。
- 心理的な緩み: 経済的な余裕ができることで、「これくらいなら大丈夫だろう」と細かい支出に無頓着になることがあります。
- 周囲との比較や見栄: 同僚や友人との付き合い、SNSなどで目にする情報などから、自分も同じレベルを維持したい、あるいは良く見られたいといった意識が働き、見栄や世間体のためにお金を使ってしまうことがあります。
- 情報の洪水: 何でも手に入る時代になり、「あれば便利」「流行っているから」といった理由で、本当に必要か検討する前に購入してしまう誘惑が増えています。
これらの要因が絡み合い、意識しないうちに支出が収入の増加分を食い尽くしてしまうのです。ここから抜け出すためには、外からの情報や無意識の習慣に流されるのではなく、自分自身の内側にある「価値観」に目を向けることが重要になります。
マネーミニマリズムの考え方:自分にとって「本当に価値あるもの」を見極める
お金をシンプルに貯めるための第一歩は、自分にとって何が「本当に価値あるもの」なのかを見極めることです。これは、サイト「マネーミニマリズム」の根幹をなす考え方でもあります。
無駄な支出とは、あなたが「価値を感じていないもの」に使ったお金のことです。周囲に合わせて購入したもの、惰性で続けているサブスクリプション、見栄のためだけの出費などがこれにあたります。これらの「無駄」を削ることは、単に財布のひもを締めることではありません。あなたが心から満足や喜びを感じるもの、将来の目標達成に貢献するものに、より多くのお金を振り向けられるようにすることです。
自分にとっての「価値」を見つけるためには、次のような問いを自分自身に投げかけてみてください。
- 何にお金を使った時に、最も幸せや満足を感じるだろうか?
- 将来の目標(マイホーム、教育費、老後など)のために、今どのようなお金の使い方ができるだろうか?
- もし収入が半分になったとしたら、何にお金を使うことを優先するだろうか?
これらの問いを通じて、あなたがお金に求めるもの、本当に大切にしたいものが少しずつ明確になってくるはずです。
価値観に基づいたシンプルなお金の使い方と習慣
自分にとっての「価値あるもの」が明確になったら、次はその価値観に基づいたお金の使い方を実践し、習慣に落とし込んでいきます。複雑な家計管理や無理な節約は不要です。シンプルに、以下の点から始めてみましょう。
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お金の「流れ」を見える化する(複雑でなく、ざっくりと) まずは、ひと月のお金の大まかな流れを把握します。詳細な家計簿をつけるのが苦手であれば、銀行口座やクレジットカードの明細を月に一度チェックするだけでも構いません。何にいくら使っているのか、特に「価値を感じないのに使っているお金」はないか、ざっくりと把握することから始めます。
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「価値ある支出」と「無駄な支出」に区別をつける 見える化で見えてきた支出を、先ほど見極めたあなたの価値観に照らし合わせて、「これは自分にとって価値ある支出だ」「これはもしかしたら無駄かもしれない」と区別をつけてみます。例えば、家族との食事は価値ある支出、惰性で見ている動画配信サービスの料金は無駄かもしれない、といった具合です。
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「無駄かもしれない支出」をシンプルに削る 無駄かもしれないと気づいた支出から、無理なく削れるものをリストアップします。全てを一度にやめようとせず、まずは一つか二つ、負担の少ないものから試してみてください。例えば、利用していないサブスクリプションを解約する、コンビニに立ち寄る回数を減らす、衝動買いしがちなネットショッピングの通知を切るなどです。
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「価値ある支出」と「将来のための貯蓄」を優先する仕組みを作る 無駄を減らした分のお金は、「価値ある支出」や「将来のための貯蓄」に振り向けます。給与振込口座から自動的に貯蓄用口座や投資用口座に一定額を移す「先取り貯蓄」の仕組みは、シンプルで非常に効果的です。これにより、収入が増えてもその分を自動的に貯蓄に回すことができ、「収入アップ=支出アップ」の連鎖を断ち切ることができます。
シンプルな資産形成の考え方
将来の安心のために、貯めるだけでなくお金にも働いてもらいたいと考える方もいらっしゃるでしょう。複雑な金融商品は避けたいという方には、シンプルで堅実な「長期・積立・分散」の考え方に基づいた資産形成がおすすめです。
毎月一定額を、国内外の幅広い資産(株や債券など)に分散して積み立てていく方法は、投資のタイミングに悩む必要がなく、価格変動のリスクを抑えながら、時間の分散効果を活かして堅実に資産を増やしていくことを目指せます。NISAやつみたてNISAといった非課税制度を活用することで、税金面でも有利に資産形成を進めることができます。
ここで大切なのは、あくまで「シンプルに、無理なく続けること」です。一度設定すれば、あとは自動的に積み立てられていく仕組みを選び、頻繁に運用状況を気にしすぎないことが、忙しい日々の中でも継続するための鍵となります。
まとめ:価値観とシンプルさがお金を貯める鍵
収入が増えても貯蓄が増えない状況を改善するためには、収入アップに伴う支出増加のメカニズムを理解し、自分にとっての「本当に価値あるもの」を見極めることが出発点となります。
マネーミニマリズムの考え方を取り入れ、無駄な支出をシンプルに削り、価値ある支出と将来のための貯蓄を優先する習慣を身につけること。そして、複雑ではない堅実な資産形成の考え方を実践すること。これらは全て、あなたの収入アップをしっかりと貯蓄に繋げ、将来の安心を着実に築いていくためのシンプルで効果的な方法です。
まずは、今月のお金の使い方をざっくりと振り返り、「これは本当に自分にとって価値があるかな?」と問いかけてみることから始めてみてはいかがでしょうか。その小さな一歩が、お金に対するあなたの価値観を変え、シンプルに貯まる体質への大きな変化をもたらすはずです。