モノにお金を使う?体験にお金を使う?シンプルにお金が貯まる価値基準の見つけ方
お金を貯めたいけれど、なかなか目標額に届かない。収入が増えても、なぜかそれ以上に支出が増えてしまう。そんな悩みを抱えている方は少なくないでしょう。効率的にお金を使いたい、増やしたいと思っても、複雑な情報が多くてどこから手をつけて良いか分からないと感じることもあるかもしれません。
お金に対する不安や、漠然とした「もっと貯めなくては」という焦りは、お金の管理を複雑に感じさせる一因となります。しかし、お金をシンプルに管理し、着実に貯めるためには、まずご自身のお金の使い方に対する「価値基準」を見直すことが大切です。
この記事では、私たちの支出の多くを占める「モノ」と「体験」という二つの切り口から、ご自身にとって本当に価値のあるお金の使い方を見つけ、結果として無駄を省きシンプルにお金を貯めるための考え方をご紹介します。
なぜ「モノ」と「体験」の使い分けが重要なのか
私たちは日々の生活の中で、様々な「モノ」を購入し、様々な「体験」にお金を使っています。新しい服、最新のガジェット、車、家具といった具体的な「モノ」への支出。そして、旅行、習い事、友人との食事、映画鑑賞といった「体験」への支出です。
お金をシンプルに貯めるためには、無駄な支出を減らすことが不可欠です。では、どのような支出が「無駄」なのでしょうか。それは一概に言えるものではなく、人それぞれの価値観によって異なります。しかし、「モノ」と「体験」という視点からご自身の支出を振り返ることは、その価値観を見つけるための有効な方法です。
ミニマリズムの考え方では、必要以上のモノを持たないことで、物理的なスペースだけでなく、管理の手間や維持費といった見えないコスト、そしてそれらに煩わされる精神的な負担を減らすことを重視します。これはお金の管理にも応用できます。
多くのモノを持つことは、購入費用だけでなく、それらを維持するための費用(例えば車の維持費、家電の電気代、衣類のクリーニング代や収納スペース代)や、さらに新しいモノが欲しくなる心理的な欲求にも繋がります。
一方、「体験」への支出はどうでしょうか。旅行で得た感動、友人との語らいで深まる絆、新しいスキルを学ぶことで得られる自信など、体験から得られる価値は記憶や内面的な成長として蓄積されます。これらは物理的な場所を取らず、一般的に維持費もかかりません。もちろん、すべての体験がお金に見合う価値を持つわけではありませんが、ご自身の成長や幸福感に繋がる体験への支出は、将来への投資とも言えます。
自分にとって価値ある「モノ」と「体験」を見つけるステップ
ご自身にとって本当に価値のあるお金の使い方を見つけるためには、まず現在のご自身の支出を「モノ」と「体験」に分けて振り返ってみることから始めましょう。
- 直近の支出をリストアップする 一週間や一ヶ月など、期間を決めてレシートや家計簿アプリを見返してみてください。何にどれだけお金を使ったか、具体的に書き出してみます。
- 「モノ」と「体験」に分類する リストアップした支出項目を、「モノの購入」「サービス・体験の利用」に分類します。例えば、カフェでの一杯は「体験」に含まれるかもしれませんし、新しいコーヒーメーカーは「モノ」です。書籍は「モノ」ですが、そこから得られる知識や学びは「体験」に繋がります。厳密な区別よりも、ご自身が「これはモノを買った」「これは何かを体験・利用した」と感じる直感で分類してみましょう。
- それぞれの支出に対する満足度を評価する 分類した支出一つ一つに対して、ご自身の満足度を簡単なスケール(例えば、1~5点)で評価してみてください。「本当に必要だったか」「使って(体験して)良かったか」「また同じものにお金を払いたいか」などを考えながら評価します。
- 満足度の低い支出の特徴を分析する 特に点数が低い支出は、もしかするとご自身の価値観に合わない「無駄」な支出かもしれません。どのような「モノ」や「体験」への支出で満足度が低い傾向にあるのか、共通点を探してみましょう。衝動的に買ったモノ、付き合いで参加したイベント、なんとなく契約しているサービスなど、具体的な理由が見えてくることがあります。
この振り返りを通じて、ご自身が何にお金を使ったときに幸せを感じ、何にお金を使ったときに後悔しやすいのか、という傾向が見えてきます。これが、あなた自身の「お金に対する価値基準」のヒントになります。
シンプルにお金を貯めるための「モノと体験」の使い分け習慣
ご自身の価値基準が少しずつ見えてきたら、次はお金の使い方をシンプルにし、貯蓄に繋げるための習慣を意識的に取り入れてみましょう。
- 衝動的な「モノ」の購入にブレーキをかける 満足度が低かった支出に「衝動買いしたモノ」が多い場合、買う前に一度立ち止まる習慣をつけましょう。欲しいものリストを作り、すぐに買わずに数日~数週間待ってみる。「本当に必要か」「他のもので代用できないか」「それはあなたの価値観に本当に合っているか」と自問自答する時間を設けるだけで、不要なモノへの支出を大幅に減らせることがあります。
- 「体験」への支出は目的意識を持つ 「体験」への支出は無駄になりにくい傾向がありますが、それでも漫然とお金を使うのではなく、「この体験から何を得たいか」「誰とどんな時間を過ごしたいか」といった目的意識を持つことで、満足度を高めることができます。また、高価な体験が必ずしも満足度が高いとは限りません。無料や低コストでも、価値の高い体験はたくさんあります。
- 「所有」から「利用」へのシフトを検討する たまにしか使わないモノや、維持管理が大変なモノについては、レンタルサービスやシェアリングサービスを利用することも考えてみましょう。必要な時に必要なだけお金を払うことで、初期費用や維持費といった「モノ」を持つことによる見えないコストを削減し、よりシンプルにお金を使えるようになります。
- 本当に価値ある「モノ」には適正なお金を払う 「モノへの支出を減らす=安物を選ぶ」ではありません。ご自身の価値基準に照らして「これは長く大切に使いたい」「これを持つことでQOL(生活の質)が劇的に向上する」と感じるモノに対しては、多少高価でも、品質の良いモノを選ぶことが結果的にコストパフォーマンスが高くなる場合があります。安価なものを何度も買い替えるよりも、良いものを手入れしながら長く使う方が、モノへの支出全体をシンプルに抑えることに繋がります。
これらの習慣は、単に支出を抑えるためのテクニックではなく、ご自身の価値観に基づいた「納得のいくお金の使い方」を追求するプロセスです。
まとめ:価値基準を明確にしてシンプルに貯蓄へ
「モノにお金を使うか、体験にお金を使うか」という問いは、どちらが良いかという単純な二者択一ではありません。重要なのは、ご自身の価値観を明確にし、その基準に沿って意識的にお金を使うことです。
ご自身にとって本当に価値のある「モノ」や「体験」への支出を優先し、そうでない支出を減らす。このシンプルで明確な基準を持つことが、漠然とした支出をなくし、結果として無駄を省き、着実に貯蓄を増やすことにつながります。
まずは、ご自身の最近の支出を「モノ」と「体験」に分けて振り返り、それぞれの満足度を評価することから始めてみましょう。そして、ご自身の価値基準に基づいて、次回の支出から意識的に選択を変えてみてください。この小さな一歩が、お金に対する価値観を見直し、シンプルにお金を貯めるための揺るぎない土台となります。
お金の管理を複雑に考えすぎず、ご自身の「好き」や「大切」といったシンプルで根源的な価値観を指針とすることが、お金を貯めること、そしてより豊かな人生を送ることへの近道となるでしょう。